「三国志」著/吉川英治 大作にして傑作の歴史ロマン!

「三国志」その名を知らない人はいないでしょう。

今から1800年前の中国大陸を舞台にした歴史物語です。

国の腐敗と民の窮乏を救おうと正義感に燃える青年劉備をはじめ、天才的な用兵術と権謀術数を駆使して権力のトップにのし上がっていく曹操、天下無双の武力を持つ呂布など、魅力的な人物たちの活躍が描かれています。

本著は俗に「吉川三国志」と呼ばれ、文庫本にして全八巻、ページ数にして約3200ページを数える一大歴史小説になっています。

物語は劉備を中心に描かれ、彼が関羽、張飛と義兄弟の契りを結んで挙兵し、諸葛亮孔明と出会い、様々な戦を経て蜀の地を得て皇帝になり亡くなり、さらにその後孔明が亡くなるまでが物語として描かれています。

文体は少々古く、森鴎外などの擬古文と、現在の標準語の中間のような文体となっていますが、難しい漢字やレトリックなどはほとんどなくすらすら読めます。

文章は、淡々と場面を記載するところと、感情の動きや戦のダイナミックさをつぶさに描くアクション性のあるところでメリハリが付けられており、この点でも飽きがきません。

重要な戦であるはずの「官渡の戦い」があまりにあっさり終わってしまったり、作中三回も登場しては死ぬ人物がいたりと現在から見ればあらもあるようですが、この3200ページ、時系列にして100年余りのダイナミックな物語を読破したとき、その読む者を大きく精神的に成長させる何かを得られるはずです。