上橋菜穂子「鹿の王」

2014年初版発行された上橋菜穂子さんの「鹿の王」を知人からの誕生日プレゼントとして読ませていただきました。

プレゼントされた際、上下巻というページ数がある本書を、とっつきにくいなぁと感じていた印象があります。

本書は、主人公が岩塩鉱に奴隷として捕まっている場面から始まります。読み始めは、世界観がつかみきれず読みづらい印象もありましたが、読み進めるうちに緻密な設定や文章表現がなされており、本当に存在する世界のように感じられるようになっていきました。現実と向き合う主人公たちを取り巻く世界と現状に対して、もどかしさを感じ歯を食いしばりながら一緒になって抗っている自分がいることに気付され、本書の世界にどんどん引き込まれ、一気に読み進めてしまいました。主人公たちのひたむきに生きる姿に感銘を受け、自分自身の生き方とも向き合わされるきっかけとなりました。

あまり読書をする方ではない私ですが、多くの知識をもとに描かれている本書に感嘆させられるとともに、文章の持つ力や楽しみを感じることができました。最終的には、読み終えることに名残惜しさも感じるとともに、あとがきに「書き上げるまでに3年、編集者から声をかけられて10年かかった」と記されていることを目にし、数日で読み終えてしまったことに対して、もっとかみしめながら読むべきでとてももったいことをしてしまったのではないかと後悔の念も感じる程でありました。そのため、今度は私がとの思いで様々な人にプレゼント・紹介していますが、皆良い感想を聞かせてくださいます。