太宰治「女生徒」から感じた少女の想い

太宰治の著書「女生徒」は、タイトル通り、女学生の語り口調で綴られる小説作品です。少女のなんでもない日常と、そのなんでもない日常から感じとった、楽しさや、面白さ、不満、怒りが、現代にも通ずるところがあり、共感しながら読み進めることができる作品です。

また、彼女の日常の延長線上から、父親が亡くなり、姉は嫁ぎ、母と二人暮らしであることがわかります。その心細さと結婚を考える年頃なことで、悩めるひとりの少女である彼女を身近に感じられることができます。

作品を通して、特に私が好きなのは、物語の主人公である女生徒が、読者に向けて別れを一言告げるところです。その一言から、彼女が何でもない女生徒のひとりだからこそ、ひとたび離れてしまうと、一瞬でその他大勢に紛れてしまい、もう二度と出会えないことを予感させます。しかし、物語を読み終わる頃には、たしかに彼女は、読者の中で特別なひとりとなっており、出会えないことが心から切なく、泣きたくなるような気持ちになります。

ひとりの少女と出会い、そして別れるまでを、小説とはいえ、不思議とリアルに感じられる、とても素敵な作品です。忙しい日常のなか、ほっと一息つきたい時に読みたい一冊です。