綿矢りさ著「大地のゲーム」

最近、綿矢りさ著の「大地のゲーム」を読み、色々と思うことがあったので書こうと思います。

時代は現在でなく近未来の話。とてつもない大地震が起こり、多くの被害が出ている中、再び1年以内に同じくらいの地震、もしくはもっと大きな地震が来ると予想されている都市が舞台です。主人公はそんな都市にある大学に通う学生です。災害の被害のせいで大学はめちゃめちゃになり、学生たちは満足な対応をしない大学側、国家に腹を立て、デモを起こします。そんな混沌の中、大学内では様々な事件が起こっていきます。

この小説は近未来の話として描かれていますが、どこか現代社会の問題に通じるものがあるなと私は感じました。国民が被害に苦しんでいる中でうまく機能せず、次にまた大きな震災が予想されていると警告するだけの国家や大学の姿はやや大げさとはいえ、現代の国家にも言えることかなと思います。

またこの物語は主人公が所属するデモグループを中心に描かれます。私は小説や映画などでしか見聞きしたことがありませんが彼らはどこか過去の日本の学生の姿を彷彿とさせます。

過去の危なげで凶暴な姿を描きながらも、現代の問題も取り入れ、どこか他人事でなく身近な物語として描かれている本作は、今までに読んだ小説では感じたことのない独特な危機感を感じることができました。

震災に関わらず、危機的状況にあったとき、人はどう動き、どう考えるのか、そんなことを考えるきっかけを作ってくれる小説だなと個人的には感じました。