雪国

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
誰もが知っている、川端康成の雪国ですが、実際に読んだことのある方は少ないのではないでしょうか。
今回角川文庫から綺麗なカバーで出版されているのを発見し、購入しました。
主人公は親の遺産で自由に暮らしている文筆家の島村で、彼が汽車で雪国の温泉町へ滞在する話です。
主要な登場人物は他に芸者の駒子、不思議な女性の葉子、駒子の許嫁で死期の迫る行男です。
東京に妻子を持つ島村ですが、何度もこの温泉町へ滞在するうちに駒子と親密な関係へ発展してゆきます。
そして同時に葉子の影も彼に色濃く落ちてゆくこととなります。
そして彼らの関係は2つの事件によって変化を迎えます。
いい変化か、悪い変化か、それを決めるのは読み手ですが、少なくとも私は良い変化だったのではないかと思いました。
この作品は風景の描写も感情の描写もとにかく美しい作品です。
そうでなければ冒頭の一文だけがこんなにも有名にはならないと思いますし、冒頭の主語が無く簡潔で美しい文章は、その後の洗練された小説作品の象徴のようにも感じます。
英語では不可能な表現ではないかと思います。
川端康成は新潟県の湯沢温泉に滞在した経験から雪国を執筆しました。
執筆を行った部屋は今も保存され、展示が行われています。
単行本の発売当時は雪国に感化された人々が湯沢温泉に殺到したという話も解説に書かれており、そう言った裏話も楽しめるのが単行本の良さだと思います。