対岸の彼女

ツイッターで話題になっていたので読みましたが、意外にも10年ほど前に書かれた小説でした。
主人公の小夜子と、その就業先ベンチャー企業の社長である葵の高校時代が交差するように書き進められていて、読んでいくとだんだん明かされていくのがとても面白かったです。
集団に入ることの大変さ、ある日ちょっとしたことで、いじめの標的になってしまうこと、そんな子供時代を必死に生きる葵と、「そんなところに私の大切なものはないの」と言い切ってしまう魚子の温度さを見て、自分の学生時代の学校のクラスメイトや、ひしひしと感じていた教室の空気を思い出しました。
人間の社会はつながりでできていますが、それはとても複雑で、時には周りに合わせたり、自分を押し殺して集団に参加していくことが必要で、その難しさに悩む主人公を見ていてとてももどかしくも感じました。
結婚して子供を産んで家庭を築いても、決して幸せになれるとは限らないし、起業して社長になったと言えども手探りで、裕福ではない…そんな登場人物たちがあがいている様子が鮮明に描かれていて、現代の日本の生活の在り方を目の当たりにしたような気がしました。
本当に大切なことは、自分にとって信頼できる人を見つけること、周りの取り巻きに流されないこと、自分の生きていく世界を自分で切り開いていくことだと思いました。
人生で悩んでいる人に、普通に生きていくことだけが幸せだと思っている人に、この小説を読んでみてほしいです。